第12回創作漢字コンテストの結果を見て思ったこと。

つい先日『創作漢字コンテスト』の結果発表があった。

sousaku-kanji.com

京都に観光した時に訪れた『漢字ミュージアム』の展示にて、この創作漢字なる文化があることを初めて知ったのだが、(名物の漢字5万字タワーは圧巻であった。)

www.kanjimuseum.kyoto

普段見慣れている漢字をちょっと変えてみたり、ちょっと何かを付け加えてみたりと、ほんの少し変化によって、ガラリと漢字の姿が違って見えてしまう感覚がとても面白かった。

そんな創作漢字のコンテストがあることを数年前に知ってから、色んな創作漢字を見て楽しんでいたり、頭をひねって応募してみたりと、様々に楽しんでいるのだが、今回の第12回の結果も世相を反映していたり、こう来るのか..!?というものも多々あり、興味深かった。

 

第12回の最優秀賞の一つである『ノンアルコール』と読ませる創作漢字。ぱっと見はノンというカタカナをさんずいの代わりに置いただけかと思ったが、よく観察すると、さんずいの上の点を回転させて"ノ"というカタカナを作り上げていたことに気づいて、なるほどなぁ..と後からうなってしまった。ほんの少しの変化で見え方がこうも変わってしまうものかと、改めて漢字の面白さを再確認させてくれた。

もう一つの最優秀賞である『にじ』と読ませる創作漢字も面白かった。『色』という漢字の上部分を数字の"7"にして『にじ』と読ませているのだが、アラビア数字と漢字の組み合わせという、日本の多様な文字文化を表しているようでもあり、それが『にじ』という意味にもマッチしていて、シンプルでありながらも、綺麗にピースがハマっていくような漢字のようにも思えた。"色"という漢字も"7"という数字のどちらの形も崩していないのも見事だった。

 

今回個人的に気になったのは、この"算"の字を用いたこの2つ。『わりざん』と『せこい』と読む創作漢字なのだが、

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(第12回創作漢字コンテスト 結果発表 より)

 

どちらも読み方を聞いてから見ると、なるほどなぁ..と思える字なのだが、実は"算"という漢字を元にした創作漢字は過去に結構ある。

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(第5回創作漢字コンテスト より)

第5回|過去作品|創作漢字コンテスト

こちらは『かけざん』と読ませる創作漢字だ。竹冠の部分を活かしつつ、しっかりと掛け算の読むに相応しい字になっている。

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(第4回創作漢字コンテスト より)

第4回|過去作品|創作漢字コンテスト

こちらは『どんぶりかんじょう』と読ませる字だ。"丼"の字面が強い印象を受けるが、そんな大味の部分が"どんぶり勘定"という意味にも合っていて面白い。

 

創作漢字ではよく見かける"算"の漢字なのだが、今回の第12回では2作品選出されていることに個人的には驚いた。まだまだ"算"という漢字には可能性があるのだと感じさせ、この"算"という字面、意味、使われ方などが人々に定着しているのだろうと思わせてくれる結果のように思えた。今回の結果を見て、自分の中にある"算"という漢字の思い出に浸りながら、何か一つ創作漢字を考えてみたいと思った。