ふと購入した『さよたんていのおなやみ相談室』が面白かった。

今週のお題「買ってよかった2021」

今年ふと書評を目にして購入した本『さよたんていのおなやみ相談室』。

book.asahi.com

これがものすごく面白かった。

小学3年生のさよちゃんが始めた『さよふしぎたんていしゃ』に寄せられる依頼をズバッとさよ探偵が解決していく内容をまとめた本なのではあるが、(探偵社ではあるが、ほぼお悩み相談室のようになっているのはご愛嬌である)、この"ズバッ"と一言で解決していく様がとにかく気持ちよく、そして面白い。

小学生らしい鉛筆で書かれた調査報告書も味わい深く、11歳の年代にしか出せないような無邪気な可愛らしさも存分に感じられるのだが、それ以上に大人が抱える切実な悩み・他愛のない相談など種々の問題に関して、思わず「そう解決するのかぁ..」と視点の数々に唸ってしまった。そんな解決文も長々と書かず、一言で言い表しているのもお見事。ここにもまた唸ってしまう。(合間に『さよたんていからの逆調査依頼』ということで大人が解答をするコーナーもあるのだが、その答えを見てみると、よりさよ探偵のユーモアさが際立つ)

唸らされっぱなしのさよ探偵の解答なのだが、そこには大人になっていく内にこぼれ落ちてしまった真っ当で真っすぐな視線というものを感じ、ハッとさせられる。大人になってからは中々に言えない言葉の連続なので、見ていて痛快な味わいもあるし、こちらが学ばせてもらうことがとても多い。

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(報告書に書かれているイラストも見どころの一つ。毒舌ではあるが、可愛いイラストがそれを緩和している。ナイスユーモア)

さよ探偵へ母からのメッセージが書かれたあとがきも素晴らしい。所詮子どもの遊びだからと言って適当に付き合うのではなく、大人も全力で子どもと一緒に考えてみる。そんな姿勢は私自身も大切にしていきたいと思った。

テンポ良く、短い言葉であるはずなのに、一つ一つにエネルギーをもらえる。何か悩みにぶつかったときは、この本をパラパラとめくり、笑い飛ばしていきたいものだ。