VRZONEに実際行ってみて率直に思ったこと。

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今年は「VR元年」と言われているほど話題になっているVRなのだが、雑誌や動画などで見ているだけではイマイチどのようなものなのかが分かりにくい。なので、実際に体験してみて感じたことを率直に書いていきます。

今回体験しに行った場所はお台場にある「VRZONE」という場所です。「HTC VIVE」というVRバイスを使って様々なVR体験ができる施設です。

project-ican.com

まず、この施設ではバナパスカードというものにお金をチャージして支払う形になるので持っていない人は始めにこのカードを買うことになる。予約時間前に購入する時間を設けているので少し早めに来た方が良いと思う。

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そのあとスタッフさんから注意事項などの説明を受けるのだが、バナパスカードを買ったりして時間が過ぎているため、この説明によって開始時間が遅れてしまうのがもったいないと感じた。色々と注意事項があるので説明に時間をさくのは大事なのだが、カードの販売に関してはいつでもどこでも買えるような場所を設置してほしかった。あと個人的にどのアクティビティは一人用なのか?複数人必要なのか?と説明に一言添えてほしかったかなぁとも思った。

VRの体験会などで気になることの一つに、他人が使用したHMDを使用することでの衛生面の問題がある。ゲームのコントローラーとは違い、顔に密着しているものを使いまわすので気になる人にとってはものすごく気になってしまうかもしれない。ただこのVRZONEに関しては入る前に首にかける入場証と一緒にアイマスクが配られるので、このように多数の人が使用する施設が清潔面に気を使っている点はとても良かった。みんながアイマスクを付けている姿はなんだかちょっと仮面舞踏会みたいだったけれども…

では、今回自分が体験したアクティビティは4つで、一つ一つのアクティビティについて率直に思ったことを書いていきます。

高所恐怖SHOW

まずネーミングがいい。どんな内容かすぐイメージできるし、遊び心もある、これはすごく気に入った。内容は地上200メートルの高所のビルから突き出た板の上を歩いて、そこにいる猫を救出するのだが、とは言ってもゲームはゲーム、そんなに恐怖を味わうことはないだろうと高をくくっていたが、これがまぁ結構怖かった。

HMDで視界が完全に覆われるので現実の景色が遮断され、HMDから見える世界にすぐに没入できる。それにエレベーターで徐々に上がっていくのだが、VRなので頭をふったら現実世界のように景色が変化し、「あぁ、今から地上200メートルまで上がっていくんだ」と感じさせるのがすごい。尚且つ、実際に足場の悪いガタガタする板の上を歩かされるので、これがまた没入感・恐怖感を増してくれる。

それにプレイする前にスタッフの方から「こちらは高所が苦手な方はプレイするのを控えたほうがよろしいと思います。思っている高さの数倍は高いところだと想像してください。準備はよろしいですか?」と伝えられるのだが、これがまた恐怖を煽っている。とにかく、隅々まで恐怖を増す工夫をしているのがよく出来ていると思った。

ただ高所を歩かされるだけでなく、猫を救出するという目的、その過程で発生する状況の変化、クリアしたときの達成感とゲーム性も含まれているので、色々と楽しませてくれる。ゲームのQTEも進化したらこうなっていくのだろうか。

細かいところを言えば、手のモデルは表示されるがずっと手が開いている状態であるとか、猫の感触もあまり猫っぽくないとか、色々あるが、「ここから落ちてしまったら一体どうなってしまうんだろう…」という恐さは十分に感じられたので、非常に貴重な体験ができたと思った。

スキーロデオ

これが一番楽しかった。ゲームとしても新しい体験としても非常に興奮した。筐体の上に乗って左右に体重をかけることでスキー板を操作するのだが、実際に滑ってるかのような雪の抵抗を感じられるのでものすごく気持ちいい。また実際の風が体に当たるのでVR映像と相まって臨場感を増してくれるのも良かった。

ゲームとしても面白く、ゴールを目指してどのくらい早く滑れるかに挑戦するのだが、決められたコースではなく、自分で好きなコースを選んでゴールを目指せるので「右に行くか?左に行くか?」という自由度が高いのがとても楽しかった。

少しスキーの操作が難しいかなと感じたが、スキー特有の滑る気持ちよさだけでなく、崖から落下するときや岩にぶつかってしまった時に感じるVRでしか味わえない恐怖体験も楽しめてとても満足した。「今度は別のコースを試してみよう」「最速タイムに挑戦してみよう」とくり返しプレイしたくなるゲーム性があるのもとても良い。

あと、このアクティビティは前述したようにものすごくスキーとしての再現度が高いので、ファミ通での大塚さんのコラムにも書かれていたが短い時間なのにたくさん運動した気分になれる。実際にプレイした後はかなりドキドキしたし、疲労感もあった。ゲームセンターなどだけでなく、スポーツジムなんかにもすぐにでも設置してもゲーム性が上手い具合に作用して、楽しく運動を続けることができるんじゃないかなぁ。

アーガイルシフト

巨大ロボットのパイロットとして敵と戦うアクティビティなのだが、一緒にAIヒューマノイドも搭乗しているのが面白い。よく喋るし、よく動くし、VRなのでヒューマノイドがそこに存在している感じはすごく味わえる。コクピット内部も雰囲気が出ており、発進するときのワクワク感は男心をくすぐらせる。

ゲームとして見たら、ボタンを押して弾を撃つ・頭を振って弾を避けるというシンプルなゲームなのだが、操作方法が頭を振って狙いをつけるのでそれがとても煩わしい。HMDも少し重いので余計気になった。またストーリーに沿ってゲームが展開していく形なので、自分で色々操作する楽しさよりかは、ロボットパイロットになりきれる体感型アクティビティとしての色が強い。

ヒューマノイドと共に行動している感じ、世界観への没入感はすごいなと思ったが、シューティングゲームとしては何か物足りないと感じてしまった。もしかするとVRはシューティングより、恋愛コミュニケーションゲームの方が相性がいいんじゃないかと思ってしまった。

トレインマスター

VRを使って鉄道の運転を体験できるアクティビティなのだが、運転席からの景色、加速することによって動く電車の挙動など実際に運転士になりきれる感じは味わえる。また難易度の違うステージが用意されていたり、プレイが終わった後自分の運転をふり返ることができたりとくり返し遊びたくなる工夫がされているのも良かった。

しかしVR体験の面から見るとそれほど新しい体験ができたわけではなく、似たようなゲームも他にも存在しているので、このアクティビティだから味わえない何かはそこまで感じ取れなかった。運転席から見える駅にいる人たちの顔も変化がなくどれも一緒に見えてしまったのももったいないなと思ってしまった。

やっぱり新体験であることには間違いないVR

今回人生で初めてVRを体験してみたのだが、やはり評判を見たり聞いたりするのと実際に自分で体験してみるのとでは感じ方は全然違う。没入感が売りのVRなのだが、ただ単にHMDから見える映像だけだけでなく、実際に不安定な足場を歩かせたり、揺れや風を感じさせたりと、バーチャルな世界にほんの少しの現実をエッセンスとして加えることが、より現実味を帯びたバーチャルな世界の体験に繋がっていることにものすごく驚いた。

体験してみて思ったことは体験型アクティビティとしては面白いが、一人一人が遊ぶゲームとして見たらまだまだ工夫が必要だと感じた。ゲームセンターなどで1回5~10分で遊ぶアクティビティでVRを使うのなら今すぐにでも対応できそうなのだが、個人的には何回もくり返し遊びたくなる据え置きゲームのような体験をVRで体験したいので、それを実現するためには何かもう少しVRの機能を活かしつつも、攻略したり遊び続けられるゲームデザインを生み出さなければいけないのかなと思った。裏を返せばまだまだ伸びしろがあるということなので、今後に大いに期待したいところ。

今回は時間の関係で体験できなかった脱出病棟Ωというホラーコンテンツがあったのだが、それをプレイしている人の声でこっちがビックリしてしまうほど大きな声が聞こえてきたので恐怖を感じさせるホラーはVRと一番相性がいいのかもしれない。辛酸なめ子さんのコラムでも書かれていたが、高所からの恐怖、崖から落ちる恐怖など死を感じさせる「恐怖体験」という日常では絶対に経験することのできないことがVRにとってはこれから重要なキーワードになるのかもしれない。

細かいところを言えば、画質が思ったよりも良くないとかHMDで完全に覆われている場合は良いが、眼鏡をかけているとサイズによってはHMDがピッタリと収まらず、下の方にチラッと現実世界の景色が見えてしまうと急に没入感が薄まってしまう部分など、改善してほしいところはあるけれども、実際に体験しているときはそんな細かいところは気にならないぐらい強烈な刺激を感じることができたので、これからはVRが当たり前になっていく時代が来るかどうかわからないが、少なくとも今の段階では未来を体感できる新鮮な体験であることには間違いないので、貴重な素晴らしい経験をすることができて良かったし楽しかった。